低濃度アトロピン治療とは?
学童期の近視進行を抑制する方法として、シンガポールなどで行われている治療で、現在日本でも旭川医大などの大学病院で研究が進められております。
以前からアトロピン点眼には近視抑制効果があることが知られておりましたが、瞳孔が広がったままになってしまう為に、まぶしさや見えづらさなどの副作⽤が強いので、実際の使用は難しいものでした。
しかし、近年の研究によって、非常に低濃度のアトロピンでも、近視進行の抑制効果があるということがわかってきました。
低濃度のため、まぶしさや見えづらさなどの副作⽤は通常はありません。
近視進行を抑制する方法としては、オルソケラトロジーが有名ですが、ハードコンタクトレンズを使用するため小学生などにはハードルの高い治療法でもありますし、特に低学年ではコンタクトレンズの取り扱いは非常に困難です。
また、特殊なコンタクトレンズを使用するために治療費も高額になります。
しかし、この点眼薬は毎日寝る前に1回点眼するだけと非常に簡単ですし、点眼時の刺激もほとんどありません。
近視の進行が完全に止まるわけではありませんが、最近の研究では少なくとも2年間継続して使⽤すると何も点眼しない⽅よりも近視の進⾏を軽減できたと報告されております。
ただし、この低濃度アトロピン治療(保険外診療)はまだ研究段階であり、一般に確立された治療方法ではありません。
なお、オルソケラトロジーとは違い、この点眼薬自体には視力を上げる効果はなく、視力が悪い方は眼鏡やコンタクトが必要です。
残念ながら現在当院ではこの治療をしておりません。治療開始できるようになった場合は再度ご案内します。